充電式エアブラシで始める初めてのエアブラシ塗装!(塗装・クリーニング編)

充電式エアブラシ

「プラモデルを作った際にただ組むのではなく、塗装までしてみたい!」そんな方に送る充電式エアブラシを使った初めてのエアブラシ塗装講座。
前回の「選び方・操作方法編」に続き、今回は実際に充電式エアブラシを用いて塗装をやってみていきたいと思います。

実際に塗装を行う際に必要になる道具の紹介や、塗装時にやるべき事、最後は終了時のクリーニング方法まで解説していきますので最後までお付き合い下さい。

エアブラシ塗装に必要な道具

ここからは実際に充電式エアブラシで塗装を行うために必要になってくるエアブラシ以外の道具について説明していきます。

最低限必要な物や、あると便利なものについて説明していきますので参考にして下さい。

塗料

「塗料」は塗装する際の主役的な物で、コレをエアブラシで吹き付けて色を付けていく事になります。色を選ぶ際にはプラモデルの説明書に書いている指定の色を買ってみるのもいいですが、似たような色でも種類は無数にあるので、自分好みの色を探して見るのも楽しいかと思います。

エアブラシ塗装で使用する塗料としては以下のような物がおすすめです。

ラッカー塗料

樹脂系の原料をシンナーやアルコールなどの揮発性のある溶剤で溶かした物がラッカー塗料です。
エアブラシ塗装で一番利用されている塗料ですが、シンナー臭がかなり強いので換気は必須。
ただ、最も使用されている塗料なので、色数は数えられないレベルに存在しています。

乾燥の早さ:早い
発色:艶が共にいい
塗膜の強さ:3種類の中で一番強い
塗料の食いつき:食いつきがいい
臭い:シンナー臭が強い

水性アクリル塗料

水性アクリル塗料

ラッカーに続いて人気の塗料。性能面ではラッカーに劣るけど臭いもそこまでキツくない。色数もそれなりに豊富。
水性なので付着した塗料を水洗いで落とすこともできおる。(乾燥前に限り)

乾燥の早さ:遅い
発色:発色や艶はラッカーよりも劣る、つや消しの仕上がりがキレイ
塗膜の強さ:それほど強くない
塗料の食いつき:あまり良くない
臭い:それほどきつくない

エマルジョン系塗料

アクリジョン塗料

臭いはほぼ無く、性能的には水性アクリルよりも上! 安全に扱える新世代の塗料。
ただ色数が少ないので難点。

乾燥の早さ:やや早い
発色:水性アクリルよりも劣る。重ね塗りや下地によって変化
塗膜の強さ:強い
塗料の食いつき:良い。専用のベースカラーと併用で更に強力に
臭い:ほとんどしない。専用のツールクリーナーの方が臭うレベル。

塗料に関しては発色や乾燥の速さなど、性能が良いものほどシンナーの含有量が多く体にはあまり良くはありません。
逆に安全性を考えると性能面は落ちてしますので、どちらを選ぶかは「あなた次第です」と言った感じになります。

上記の塗料ですと、「ラッカー塗料」は性能は良いですが体にはあまり良くない。
逆に一番安全性の高い塗料は「エマルジョン系」の塗料になります。

塗料についてはヴィークルマニアックスの「プラモデル 基礎から学ぶ失敗しない塗装方法 特別編 塗料を徹底解説」でも詳しく解説しています。
https://vehicles-maniacs.com/plasticmodel_gunpla_paint_color

溶剤

ガイアノーツ 溶剤

「溶剤」はエアブラシ塗装の際に塗料とセットで使用するもので、用途としてはエアブラシで吹くために塗料を薄めたり、ハンドピースに付いた塗料を落とす際に使用します。

「うすめ液」:塗料を薄める(希釈)するための溶剤。エアブラシ専用の物もあります。
「ツールクリーナー」:色の変更時や使用後のクリーニングなど、付着した塗料を落とすために使用。(かなり強力)

この2点についてはエアブラシで塗装する上で絶対に必要なものになりますので、使用する塗料の種類に合わせて専用のものを用意して下さい。

ペイントリムーバー

上記の用途以外にも溶剤の中には以下のような用途で使用する物も存在しています。

「ペイントリムーバー」:塗装したプラモデルから塗料を剥がすために使用。
「リターダー」:塗料の乾燥を遅らせる溶剤。乾燥をおくらせる事で白化などを抑える。

塗装に使用する溶剤についてはヴィークルマニアックスの「プラモデル 基礎から学ぶ失敗しない塗装方法 特別編 塗料を徹底解説」でも詳しく解説しています。
https://vehicles-maniacs.com/plasticmodel_gunpla_paint_color#6

その他に必要な物、あると便利な小物類

塗料と溶剤が揃ったら、次は塗装をする際に必要な道具やあったほうがいい物について紹介していきます。
解説の中でも書いていますが、別段専用物も用意しなくても、100円ショップなどで代用できるものもありますので、お店でいろいろ探してみるのもおすすめです。

塗料皿

塗料皿

塗料をカップに入れる前に薄めたり、色を混ぜて調色する際に使用するお皿です。
昔からある物だと銀色の金属製の物が有名ですが、最近は溶剤でも解けないようなプラスチック製の物などもあります。
別段こういった塗料皿を使用しなくても、小さめの紙コップなどでも問題はありません。
紙コップだと口の部分を少し折って注ぎ口を作れるので塗料をハンドピースのカップに入れる時に便利ですが、再利用はできないのでコスパは良くないですね。

塗料を拭き取るための紙や布

キムワイプ

ハンドピースや塗料皿などに付いた塗料を拭き取ったり、クリーニングの際に結構多様します。
一般的な所ですとテッシュペーパーやキッチンペーパーがよく使われていますが、使用した際に繊維が落ちる場合があるので結構注意が必要です。(塗装が終わって乾燥前のプラモの上に落ちたりしたら悲劇ですね・・・)
おすすめとしては少しコスパは悪くなりますが「キムワイプ」がおすすめです。「キムワイプ」は繊維が落ちることはないので塗装時の不安を一つ取り除いてくれます。

攪拌棒

攪拌棒

塗料を混ぜたり、瓶の中の塗料を撹拌する際に使用する棒です。いろいろなメーカーから発売されていますが、おすすめとしては「タミヤ 調色スティック」は金属製のため拭き取れば何度でも使用することができ、反対側には小さなスプーンも付いているので、調色の際に少量の塗料をすくうのに便利です。

もちろん、専用のものを用意する必要はありませんので、100円ショップで販売されているアイスの棒のような平たい木製スティックなどでも問題ありません。

ゴム手袋

ゴム手袋

塗装時に塗料や溶剤で手に付着してしまう可能性がありますので、作業時にはゴム手袋の使用をおすすめします。
基本的には使い捨てする物ですものですので、手にフィットした物であれば何でも良いかと思いますが、薄手の物のほうが作業はしやすいかと思います。

パウダー付きとパウダーなしがありますが、パウダー付きのほうが装着する時に楽なぐらいで大きな差はないかと思います。

塗装ブース

簡易塗装ブース

エアブラシは細かい塗料を空気に乗せて吹きだしていますので、少し離れている場所にも塗料が舞っていく可能性があります。
そのため塗装の際には段ボールを使った簡易的な物でもいいので、塗装ブースは用意してあげたほうが良いかと思います。

写真の簡易塗装ブースは段ボールの中に丸めて拡げた新聞紙を詰め込んだだけの物になります。新聞紙を丸めると表面に凸凹ができますので、その凸凹部分に塗料が付着してくれて、想像以上に飛び散る塗料をキャッチしてくれます。

実際に塗料を使って充電式エアブラシで塗装してみよう

ではここからは実際に塗料を使って塗装をする際の手順について解説していきます。
方法についてはここで紹介している物が絶対ではありませんので、自分なりにやり方を工夫してみるのも全然ありだと思います。

塗料を希釈してカップに入れてみよう

希釈

まずは塗装に使用する塗料を適切な濃度に希釈をしていきます。
塗料皿の中に使用する塗料を入れて、薄め液を足しながら丁度よい濃度に調整をしていきますが、この濃度については以下のようにメーカーから目安になる数値は公開されていますが、塗装環境(湿度や温度)によって変動してきますので、あくまで目安として捉えて、最終的な調整は自分の感覚でやるしか無いかと思います。

タミヤ:塗料1に対して薄め液1の割合
ミスターホビー:塗料1に対して薄め液1の割合
ガイアノーツ:塗料1に対して薄め液2~3の割合
希釈率

希釈の割合についていまいちわからない場合には、一度ハンドピースに塗料を入れて吹いて確認するのも一つの方法です。
上の画像は希釈率を変えて吹き付けてみたものですが、左が濃い目、真ん中がちょうどいい感じ、右が薄めの状態になります。
濃いめだと塗料の固まりやムラが激しい感じ。薄めだと同様に塗料のだまが少し飛んでしまっている状態でした。
感じとしては「均一に塗れているか」「塗料のだまが飛んでないか」の2点で丁度よい希釈濃度の判断をしていただくと良いかなと思います。

カップに塗料を入れる

希釈が完了したらハンドピースのカップに塗料を移していきます。その際は写真の様に攪拌棒などの細い棒伝いにゆっくりと入れていくと綺麗に入れることが可能です。

実際に吹いてみよう

塗装

ハンドピースのカップに塗料を移し終わったら、早速エアブラシを吹いてみましょう。
吹き付ける対象との距離は5~10cm位がベストと言われていますが、実際のところはその時の環境によって変わってくるので、実際に塗装する前にプラバンなどに試し吹きをしてみるのがおすすめです。
最適な距離はムラがなく均一に塗装ができている距離です。
(画像は判りやすくするために塗料を変えています。)

《塗装する時の注意点》
■吹き付ける際はいきなり吹き付けないで捨て吹きをしよう!
塗装を行っていると先端のノズル部分に塗料が溜まってくる場合がありますので、吹き付ける前に紙やテッシュに捨て吹きをして塗料ダマがつかないように注意しましょう。

■塗装の基本は薄く何度も塗料を重ねていく!
同じ箇所にずっと塗料を当てていると塗料溜りができてしまいます。綺麗に塗装するためには同じ箇所にとどまらず、薄く全体的に塗料を乗せていく行為を繰り返していきましょう。 最初は薄いですが何度も重ねると段々と濃くなっていって望む濃さになってきます。

違う塗料も吹いてみよう(うがい洗浄)

塗料を変える際には「うがい」という方法で一度ハンドピース内を掃除してあげる必要があります。
少しめんどくさい作業ではありますが、エアブラシ塗装においては基本的な作業になりますので覚えておきましょう。

塗料を捨てる

まずはカップ内の不要な塗料を捨てます。モッタイナイようですが一度希釈してしまった塗料は元の塗料瓶に戻すことはおすすめできませんので、どうしても残しておきたい場合には中身の入っていない空の塗料瓶などに入れておきましょう。

ツールウォッシュを入れる

続いてツールクリーナーをカップ内に入れていきます。入れる量は波々に入れなくても大丈夫ですので適度な量を入れて上げて下さい。

薄め液でも代用はできますが、洗浄力は洗浄専用のツールクリーナー(ツールウォッシュ)の方が格段に上です。

うがい

ツールクリーナーを入れたらメインとも言える「うがい洗浄」でカップ内を洗浄していきます。
やり方としては写真のようにノズル先端を指で塞ぎ、通常の塗装と同じようにトリガーを押し込んで空気を出し、少しづつ後ろに引いて行きます。
その際、一気に引くとカップから塗料が飛び出しますので、あくまで少しづつ様子を見ながら引いていく、または、カップに蓋をしてしまってからこの「うがい」作業を行って下さい。
目安としては写真の様に細かい泡が出てきていれば大丈夫です。

洗浄後はカップ内の液体を捨てて、再びツールクリーナーを入れて同じ行為を数回行います。
最終的に中に入れた透明なツールクリーナーに元々入っていた塗料が染み出して来なければ大丈夫です。

洗浄後は違う塗料をカップに入れて塗装を行って下さい。

塗装が終わった後にやること(基本的なお手入れ方法)

エアブラシでの塗装が完了したら、次の作業に向けてハンドピースをしっかりとクリーニングしておきましょう。中に塗料が残っていてハンドピース内部で固まってしまうと、最悪ハンドピース自体が使用できなくなってしまいますので、片付ける前にかならずクリーニングはするようにして下さい。

最後にやるクリーニングの作業自体は「2.3 違う塗料も吹いてみよう(うがい洗浄)」とほぼ同じ内容になりますので、「うがい洗浄」でカップ内やハンドピース内の塗料をしっかり落として頂いてから、各パーツ部分のクリーニングを行っていきます。

各パーツのクリーニング

「うがい洗浄」でクリーニング後は簡単な分解作業を行って、各パーツ部分をクリーニングしていきます。分解自体はさほど難しい作業ではありませんが、細かい部品や針のような尖った部品もありますので注意して下さい。

ニードルを抜く作業1

まずはエアブラシの肝でもある重要な部品の「ニードル」を取り外します。
後ろにあるカバー部分(赤い部分)を回して外して下さい。

ニードルを抜く作業2

最後部にあるナットのような部品を同様に回して外します。
このナットが中心にあるニードル(細い棒)部分を固定していて、塗料を吹き付ける時にトリガーを引くと連動してニードルを後退させ、塗料が吹き出す量を調整しています。

ニードルを抜く

ナットが取れたら、中心に刺さっているニードル(細い棒)を慎重に抜いていってください。
このニードルは細く、先端が針のように尖っています。
このニードルが曲がると塗料の吹き出しに問題が発生しますので、曲げないように慎重に扱って下さい。

ノズルの取り外し

ニードルが抜き取り終わったら、先端のノズルを外していきます。
先にニードルを抜いた理由は、ニードルの先端部分がノズル内に少しだけ出ているため、怪我をしない&ニードルの先端を傷つけないためになります。
ニードルさえ抜いてあれば危険はありませんので、安心してノズル部分を外して下さい。

ノズルクリーニング

ノズル部分はこんな感じで2つに分離できるようになっています。外した後は塗料皿などに入れてツールクリーナーに漬けて少し放置しておいて上げて下さい。
その際、カップの蓋にも結構塗料が付着していますので、一緒に漬け置きしておいてあげて下さい。

ニードルクリーニング

ニードルクリーニング

細いニードル部分にも塗料が残っている場合があります。ニードルのクリーニング自体は毎回行う必要はありませんので、数回使用したらクリーニングする程度で大丈夫です。見た目的に明らかに塗料が付着しているようであればクリーニングして上げて下さい。

クリーニングの方法としてはテッシュやキムワイプなどにツールクリーナーを少量かけて、写真のようにニードルの後方部分を持って手前側に引くようにして軽く数回拭き取って下さい。
その際に注意していただきたいのは、ニードルを絶対に前後させない事と、力を入れて拭き取らないことです。
ニードルの先端はかなり鋭利に尖っていますので、刺さったらかなり痛いです・・・
また、先端部分はかなり繊細ですので、下手に力を入れると簡単に曲がってしまいます。

分解とは逆の工程で組み上げてクリーニングは終了です!

ハンドピース クリーニング

これで一通りのクリーニングは終了しましたので、最後はハンドピース本体に付着している塗料を綿棒にツールクリーナーを付けてしっかりと落としてあげましょう。
塗料の中には、乾燥して完全硬化するとツールクリーナーなどの溶剤を受け付けない物もありますので、ヨゴレていると思ったらすぐに拭いておいて上げて下さい。

全てのクリーニング後は先程とは逆の工程で組み上げていけばクリーニングは終了です。
注意すべき点としてはニードルを戻す際に先端が曲がらないように細心の注意を払っていただく位ですが、トリガー部分の間をニードルは通過していきますので、トリガー部分が上に出ていないか確認してから戻すようにして下さい。

以上で、使用後に行うクリーニングの作業は終了です。
ニードルのクリーニングは余程ヨゴレていない限りは数回の使用ごとにクリーニングをしてあげれば問題ありませんが、カップ内の洗浄やノズルの洗浄はしっかりやっておかないと、せっかくのハンドピースを壊す原因になる可能性もありますので、使い終わったら必ずクリーニングを行うように徹底して下さい。

まとめ

2回にわけて解説していった「充電式エアブラシで始める初めての人のエアブラシ講座!」。
前回の「選び方・操作方法編」に続き、今回は「塗装・クリーニング編」として実際のエアブラシ塗装の方法と、終了後のクリーニングについて解説していきました。

エアブラシ塗装は昔に比べればとても一般的な塗装方法になり、どなたでも最初の1歩を踏みやすくなっているように思います。
塗装を行うために様々な作業が必要にはなりますが、一度体験して頂ければ、間違いなくエアブラシでの塗装にハマると思います。

今回の記事でみなさんのエラブラシ塗装への後押しができれば幸いです。

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