充電式エアブラシで始める初めてのエアブラシ塗装!(選び方・操作方法編)

プラモデルを作った際にただ組むのではなく、塗装までしてみたいと思ったことはないでしょうか?
一概に塗装と言っても方法は色々あり、クレオスから発売されている「ガンダムマーカー」などのペンタイプのマーカーで塗る方法や、筆で塗る筆塗り。缶スプレーを使うなんて方法もありますが、誰もが一度は憧れる塗装方法がエアブラシでの塗装になると思います。
今回の記事では近年愛用者も増えてきている充電式のエアブラシを使って初心者向けにエアブラシ塗装の方法について解説していきたいと思います。
エアブラシでの塗装はどのようなものか想像が付く方も多いと思いますが、実際にやろうと思ったときに個々の所作についてまではよくわからなかったりするかと思います。
第1回目の今回はエアブラシ塗装に必要な道具など基礎的な部分を解説していきつつ、記事の後半では実際に購入してきた充電式エアブラシを開封して、内容物やセッティングの方法を解説していきます。
この後公開の第2回目では実際に塗料を用いたエアブラシの方法を解説していきますので、合わせてご覧頂ければ幸いです。
目次
プラモデルの塗装方法

まずはプラモデルを塗装する際の方法について軽く触れていきたいと思います。
それぞれの塗装方法の良い点悪い点をザックリとまとめると以下のような感じになります。
ガンダムマーカー、タミヤペイントマーカー

良い点 |
・ペンタイプなので鉛筆と同じような感覚で塗装が可能。 ・初期導入も安価で手軽に塗装ができる。 ・細かい部分の塗装に適している。 ・金や銀色の発色が良いので金属やメッキ表現したい部分の塗装にもおすすめ。 |
悪い点 |
・広い範囲を塗るのには向いていない。 ・色の調色はできないので市販のカラーで探すしか無い ・色数が少ない。 |
筆塗り

良い点 |
・初期導入も安価で手軽に塗装ができる。 ・使用する筆を変えることで広い範囲や細かい部分など幅広く対応できる。 |
悪い点 |
・ムラなく綺麗に塗るには技術が必要。 ・重ね塗りが難しい。 |
缶スプレー

良い点 |
・広い範囲を塗るのに向いている。 ・サーフェイサーや最後のトップコート吹きに最適。 |
悪い点 |
・細かい部分を塗装するのには向いていない。 ・色の調色はできないので市販のカラーで探すしか無い。 |
エアブラシ

良い点 |
・ムラ無く均一に塗装ができる。 ・グラデーション塗装なんかもできる。 ・幅広い範囲から細かい所までオールマイティーに対応できる。 |
悪い点 |
・初期導入に費用が結構かかる。 ・塗装をするために色々と準備が必要。 |
どれも一長一短なところがあり、一概に「この塗装方法が最強だっ!」という物はありませんし、複数の塗装方法を用いて1つのプラモデルを塗装するなんて事はよくあります。
つまるところ「該当の部分を塗装する時にどの塗装方法が最も適しているのか」と言う風に考えて頂いたほうがわかりやすいかと思います。
そんな色々ある塗装方法の中でも、プラモデルを作られている方の多くがメインの塗装方法として用いているのが「エアブラシ」での塗装になります。
理由としてはいろいろな事柄があるかとは思いますが、エアブラシ塗装の場合には
■ムラ無く均一に薄い塗膜で仕上げることができる!
→塗膜が薄いといい事だらけ♪表面の微妙な凹凸も潰れないし、見た目的にも綺麗。
■グラデーションやぼかし塗装で塗装面に意図的に変化を付けることができる!
→これこそがエアブラシ塗装の醍醐味!ガンプラ定番のMAX塗り(黒立ち上げ塗装)もできます。
■重ね塗りができる!
→使用する塗料の相性もありますが、下地の塗装を壊さずに色を重ねていくことができます。
こんな感じで他の塗装方法ではできないようなメリットが多数あるため、愛用者の方が多いのものと思われます。
エアブラシ塗装に必要な物

エアブラシ塗装を始めるためには大きく分けて3種類の道具が必要になります。
1つめは圧縮した空気を作り出す「コンプレッサー」。2つめが塗料を吹き付けるための「ハンドピース」。3つめは塗料や溶剤、小物類になります。



塗料や溶剤に関しては他の塗装方法でも流用は効きますが、最初のコンプレッサーとハンドピースはエラブラシ塗装専用の道具になってきます。
エアブラシ塗装に必要な道具の値段
実際にエアブラシを始める際にどれぐらいの費用が必要なのかをまとめて見ました。
基本的にはコンプレッサーとハンドピースがセットになっているので、後は塗料や溶剤を用意すればエアブラシ塗装ができる物になります。
本格的にエアブラシ塗装をやりたい方向け |
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GSIクレオス Mr.リニアコンプレッサー L5/エアブラシセット PS321 |
定価:48,400円(税込) 実勢価格:32,940円(税込) |
コンパクトなリニア式のコンプレッサーとハンドピースのセット 発売されてから10年以上経つが人気の衰えないまさに定番のコンプレッサーL5に標準的な0.3mmのハンドピースが付属したセットで、減圧や水抜きの機能もついたレギュレーターも付属しているので、初めての方には持ってこいのセットです。 |
ある程度の拡張性も考えてエアブラシはじめてみたい方向け |
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高儀 EARTH MAN HCP-100 |
定価:オープン価格 実勢価格:7,018~11,000円(税込) |
ホビー向けの小型コンプレッサーとハンドピースのセット 小型軽量なので使わない時は収納しておけるので専用スペースが無くてもエアブラシ塗装が楽しめます。 小型だがHGの塗装も難なくこなし、大型キットについても連続使用時間さえ考慮すれば問題はありません。 小型のコンプレッサーのセットモデルは色々なメーカーから出ていて、価格的には7,000~12,000円位が相場になります。 選ぶ際のポイントとしてはコンプレッサーが一定の圧力に達すると停止するタイプのものがおすすめです。商品の詳細欄に記載されていない場合もありますが、そういった際には商品の口コミや動画レビューなどを参考にして見て下さい。 ちなみに上記の高儀の「EARTH MAN HCP-100」は実際に自分も使用していますが、10年以上使用しても故障もなく今でも元気に動いています。 |
とにかく手軽に始めてみたい方向け |
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エアブラシ 充電式 コンプレッサー セット |
定価:オープン価格 実勢価格:8,000~10,000円 |
コンプレッサーとエアブラシが一体型になった形状で、充電式のバッテリー駆動なので場所を選ばず使用することが可能です。 充電式の場合には大きく分けてバッテリーが内蔵か、取り外せるタイプかで別れてきますが、内蔵タイプは比較的値段も安く、取り外せるタイプは予備バッテリーの付属している個数で結構値段が変わってきます。 もちろん付属物の内容に寄って金額は変わってきますが、内蔵タイプだと3,000~6,000円。 取り外せるタイプだと5,000~12,000円位が相場になってきます。 |
もちろん高額なものほど性能は良いとは思いますが、最初はお手頃価格なもので感触を確かめて、段階的に上のランクの物を導入していくのがおすすめです。
充電式エアブラシってどんなものなの?

今回の記事で紹介していく「充電式エアブラシ」ですが、その登場は2018年になります。
エアブラシの塗装の場合、専用の塗装ブースが常設されていれば気軽に塗装ができますが、多くの人は塗装をするためにエアブラシの道具を準備して塗装の環境を作り、終わったらか片付ける必要があるため、気軽に塗装作業ができるわけではありませんでした。
そんな中、2018年9月に開催された模型ホビーショーのアオシマさんブースで充電式のエアブラシが参考展示されました。価格や発売時期は未定でしたが、すぐさま模型界隈で話題になり、SNS上では発売を待ち望む意見が溢れていました。
それほど、エアブラシでの塗装は準備や片づけ作業が手間だと感じている人が多かった事の表れで、各言う自分も発表当初にこれは買いだと感じ、年末には他社の製品ではありますが充電式エアブラシを購入しました。
2018年12月公開「USB充電式のコンプレッサー一体型エアブラシを試してみた!」
https://www.car-toy-works.com/journal/103457/
充電式エアブラシの良い点、悪い点
■これ一つで塗装ができる!
コンプレッサーとハンドピースが一体型になっているので、いちいちいろいろな機器を接続する必要もなく、これだけでエアブラシ塗装が可能です。
■場所を選ばない
事前に充電さえしておけばコンセントの必要はないため、どこでも使用することが可能です。
塗料のシンナー臭が気になるからベランダや庭で塗装をするなんて時にも塗装する物とコレだけ持っていけばOK!
部屋で使う場合も煩わしいホースや電源コードが無いため、自由度の高い使い方が可能です。
■充電式なのでバッテリーが切れたら終了
充電式のためバッテリーが切れたら使用することはできなくなります。
使用する機器にもよりますが、だいたい30~50分位連続使用できる物が大半なので、ガンプラのHGぐらいなら充分に塗装はできますが、気になるようであれば予備でバッテリーを用意して置くのがおすすめです。
■重さ
ハンドピースの下にコンプレッサーとバッテリーがくっついている状態なので、通常のコンプレッサー環境に比べるとそれなりに重さはあります。
機器によってはハンドピースとコンプレッサーの間にホースを接続できるものもありますので、重さが気になる方は、ホース接続できる物を選ぶのもよいかと思います。

今回記事用に購入した「充電式エアブラシ」は、ホース接続用のジョイントが最初から付属していたため、手持ちのホースやハンドピースを容易に接続することができました。
このジョイント部品は合ったものを探すのは結構大変なので、この商品を購入するポイント因になったのは言うまでもありません。
ちなみに重量ですが、ハンドピースとコンプレッサー(バッテリー装着済み)を接続した通常使用する状態で314g、コンプレッサー部分だけで230gありました。
充電式エアブラシ選びのポイント
では実際に充電式エアブラシを購入するとして、どういった商品を選んだほうが良いのでしょうか? ここでは購入する際に注意すべき点について解説していきます。
使用できる口径が1/8サイズかどうか

「充電式エアブラシ」にはハンドピースが最初から付属しています。普通に使用するのであれば問題はありませんが、市販されている他のハンドピースを使用しようとした場合、コンプレッサー側の接続口のサイズの関係で使用できないことが多々あります。
一般的なハンドピースの接続口は1/8(S)サイズと呼ばれる規格サイズになります。近年発売されている1万円前後位の「充電式エアブラシ」であればこの1/8サイズの接続口を採用しているものが多くありますが、古いタイプの物や安価な物の場合、この接続口が小さい物があり、市販のエアブラシを使用するためには変換コネクタが必要となるものもあります。(古いものだとM7x0.5と呼ばれるサイズが結構多いです)

では、他のハンドピースが使えることでどういったメリットがあるのでしょうか。
やはりハンドピースにも良し悪しがあり、安価な物の場合、吹き付ける塗料の量にムラがあるなど品質や精度が落ちる物もあります。
そういった場合に、1/8サイズの物であれば、市販されている他社のハンドピースと交換する事ができますので、代わりのハンドピースを探す事も容易にできると思います。
エアブラシ塗装に慣れてきたら少し高いエアブラシを買ってみるなんてのもおすすめです。
別売りバッテリーの有無

「充電式エアブラシ」を動作させるために絶対に必要になるバッテリー部分ですが、古いタイプの場合だと内蔵されたタイプが殆どですが、新しいタイプの場合にはバッテリーの取り外しが可能になっている物があります。
製品にもよりますが、満充電の状態で30~50分程度使用ができますが、内蔵タイプの場合、充電しないと続けての使用はできないため、長時間の作業を考えるのであれば取り外しタイプで更には予備でもう1個バッテリーがある物を選ぶと安心して作業ができるかと思います。
商品によっては最初から2個入っているものや、別売りで販売されているものもありますので、購入の際には調べてみることをおすすめします。
付属しているピースの口径
「充電式エアブラシ」には最初からハンドピースが付属していますが、特に表記がない限りは大体は口径が0.3mmのハンドピースが付属しています。
ハンドピースには何種類かの口径があり、代表的なサイズとしては0.2mm、0.3mm、0.5mmの3種類になります。
口径が細ければそれだけ出る塗料の量が少ないため、細い線や細かい部分の塗装が可能になります。
逆に口径が大きければ吹き出す塗料の量が増えますので、大きい面積を塗る場合などに向いています。

下の0.3mmと比べるとノズル部分の形状が少し異なるぐらいで外見的にはさほど違いはありません。

0.3は0.3mm、0.5mmは0.5と製品名に記述があります。
多くに付属している0.3mmはハンドピースの口径として平均的な物になりますので、これ1本で様々な塗装が可能ではありますが、もっとこだわった塗装をしたい場合には違う口径のハンドピースを使ってみるのもおすすめです。
《口径別の使用用途》
『0.2mm』
細い線を拭きたい時に便利。小さい物や細かい部分を塗装する時に本領を発揮。
戦車の迷彩塗装の縁部分や、飛行機のパネルラインの塗装なんかで使う人が多いです。
『0.3mm』
平均的に何でもこなせるオールマイティーなやつ!
これ1本あればガンプラのHGやMGクラスの塗装は対応可能です。
『0.5mm』
広い面積を塗る時に便利。
大きなサイズのプラモデルや、最終的にクリアーを吹いてトップコートをかける時などにも活躍。
実際に充電式エアブラシを使ってみよう

では実際に「充電式エアブラシ」を開封して使ってみようと思います。
今回紹介する製品はAMAZONでページの上の方に表示されていて、評価の星の数も高いものを買ってみました。
購入する際に重視した点は「ハンドピースの口径が1/8サイズ」「予備バッテリーが付いている」「ホースを接続する際の変換コネクタが付いている」の3点になります。
内容物などは製品に寄って異なってきますので、あくまで参考程度に御覧ください。
購入した充電式エアブラシの内容物

箱を開けるとこのような感じで、説明書は日本語表記でハンドピースの操作方法と塗装の方法についてしっかりと説明がされていました。
タイプCの充電ケーブルはケーブル太めで安っぽさはあまりないです。
①0.3mm口径のハンドピース本体
②コンプレッサーとハンドピースのジョイントパーツ(エアバルブ)
③コンプレッサー本体
④ノズルレンチ
⑤スポイト
⑥ホース接続ジョイント
⑦クリーニングブラシ
⑧充電用Type-Cケーブル

下の段はこんな感じです。
⑨塗料カップはサイズ違いで3タイプ付属しています。
塗料カップはタミヤのスプレーワークスの物がそのまま使用可能でした。
⑩バッテリーは2個入っているので、不意な長時間作業でも安心です。
セッティング方法

では実際にセッティングを行っていきます。
本体は画像の通りで、コンプレッサー本体とハンドピース、そしてバッテリーになります。

まずハンドピースの本体から組んでいきます。
ハンドピースの下部分にコンプレッサーとハンドピースを繋ぐジョイントパーツのエアバルブを取り付けていきます。

続いてコンプレッサーにバッテリーを接続します。正面に透明な部分があり、その部分にバッテリーの残量表示が来るようにセッティングを行います。その際、カチッと音がなるまで押し込めばOK!外す時は同じくカチッと音がなるまで押し込めば取り外すことができます。

最後はコンプレッサー本体とハンドピースを接続すれば完了です。
ハンドピース上部には使用する塗料の量に応じてサイズを選び、塗料カップを接続して使用して下さい。
エアブラシの基本的な操作方法

コンプレッサー本体の電源を押すとコンプレッサーが動作し始めますが、圧力が溜ると動作が一旦停止します。そして、使用して圧力が落ちると再び動作してきます。
この「充電式エアブラシ」は圧力感知式スイッチが搭載されているので、ハンドピースのトリガーを押すとエアーが吹き出すようになっています。
一般的なコンプレッサーとハンドピースのセットでは普通のことですが、古いタイプの「充電式エアブラシ」だと、エアーは出っぱなしで、トリガーを引くと塗料が出るというのが普通でした。


トリガーを押すことでエアーが放出され、トリガーを後ろに引くことで内部の塗料の吹きだし量を調整します。
この2段階に分けて操作するタイプのハンドピースを「ダブルアクション」タイプといい、もっとも一般的なハンドピースのタイプになります。
後述する「シングルアクション」も同じですが、ハンドピース後部にあるツマミを調整することで、引く幅を調整できますので、このツマミを調整して意図的に塗料の吹き出し量を固定することが可能です。

他にも「シングルアクション」と呼ばれる物があり、こちらはトリガーを押すことで空気と塗料が一緒に出ていきますので、後ろに引くという動作は必要がありません。塗料の吹き出し量の調整は後部にあるツマミ部分を回して調整を行いますので、よりシンプルな操作のものが欲しいと思った方にはこちらのタイプがおすすめです。
使用が終わったら電源スイッチを押してバッテリーを外しておきましょう。
試し拭きしてみよう

実際に塗料を入れていきなり実戦というのも有りかとは思いますが、実際に操作感を試して見る上でも、中に水を入れて試し拭きしてみるのをおすすめします。
初めてのエアブラシであれば、このやり方でハンドピースの操作を練習してから、実際に塗料を用いた塗装に進むのがおすすめです。
まとめ
今回は様々あるプラモデルの塗装方法の良い点悪い点について、そして、ここ数年で愛用者の増えている「充電式エアブラシ」について解説してみました。
自分は元々ミニコンプレッサーを使用した塗装を行っていましたが、この充電式エアブラシが登場してからは、簡単な塗装の場合には充電式エアブラシで済ますことができるようになったので、塗装をするために準備をする手間が省けたので、より気楽に塗装ができるようになったと感じています。
次回は実際に充電式エアブラシを用いた塗装について解説をしていきます。記事の中ではエアブラシ塗装時の塗料交換の方法や、終了後のメンテナンスについても解説していきますので、是非合わせてご覧下さい。