皆様はじめまして!この度ご縁あって「飛行機ラジコンの魅力」について寄稿させていただく高嶋と申します。
軽く自己紹介させていただきますと、初めてラジコンに触れて45年くらいで最初はUコンからでしたが全く形になりませんでした。のちに学業や仕事の節目で度々やったり止めたりとなっていましたが2005年にパイロン(ラジコン飛行機のレース)に熱中して友人とメーカーを起こしてオリジナルの機体を発表したり「ラジコン技術」誌にも連載を持ったりしました。
現在は大会等からは退いてますがいつでも飛ばせるようにはしてあり、天気の良い日は小さい飛行機を持ち出したり草レース大会を見に行ったりしています。また茨城にある新利根フライングクラブという小さなRCクラブの事務局を担当しています。
空物と言われるラジコンとは?
前述のUコン機とラジコン機の違いは有線と無線の違いです。Uコン(コントロールライン)はUの字型のハンドルから2本のピアノ線が出ていてハンドルを上下することによりピアノ線でつながっている飛行機の昇降舵だけを制御する飛行機です。外から見ていると飛行機は360度周回していてその中心に常に操縦者がいる感じですね。
対して空物のラジコンは無線で操縦するもの全般の呼称となり、例えばラジコン飛行機では以下のコントロールをします。
昇降舵(エレベーター)・・・上下をコントロール
方向舵(ラダー)・・・左右をコントロール
補助翼(エルロン)・・・左右の傾きをコントロール
スロットル(エンジン/モーター)・・・出力と回転数をコントロール
お判りいただける様に空物は左右上下の三次元で楽しむ遊びとなります。
先のドローンをはじめ、空物をおおまかに分類するとドローンとヘリコプターそして飛行機といった感じです。
その飛行機の中でもスタント機、アクロ機、スポーツ機、入門機、レース用、グライダー、実機をラジコン飛行機に落とし込んだサイズのスケール機と様々に区分されて行きます。さらにエンジン機と電動機という具合に動力に燃料を使うものとリチウム系電池等を使う電動機と分かれています。なんと実機と同じ構造のジェットエンジンもあるんですよ。
今回はラジコン飛行機について少しご紹介したいと思います。
空物ラジコンの魅力
この文を書いている令和2年3月は全世界を巻き込んだ新型コロナウィルスの影響で特に屋内での活動に注意喚起が出されていますが、皮肉にもドローンを除く多くの空物ラジコンを楽しむのは野外です。
気持ちいい晴れた青空の下、フィールドで遊ぶには最高の楽しみとなります。これから初夏にかけては最高のシーズンかもしれません。遠くには新緑が見え、フィールドの端っこには小さな草花が芽をつけていたりと日常の喧騒とは大きく異なった環境となり気分転換にもなります。
機体を組み立てセットアップしている最中には鳥がさえずっていたり、周りの仲間が飛行機を飛ばしている音が聞こえたり、青空の中を排気煙の白い線が伸びていく様子を眺める自然の中の遊びはとても気持ちいいものです。
・実際のフィールドでの楽しみ方
1.友人や家族と楽しむ
私もそうでしたが最初は親戚の家に遊びに行ったことがきっかけでその後、父と一緒に楽しむようになりました。たまに母や兄妹とともに何回か飛行場に行くようになったので「家族と一緒に」楽しむことができます。お弁当と飲み物を用意してタープやマットを持っていけばちょっとしたピクニック気分となります。
ちょっと前のテレビCMでもそのような場面がありましたね。当時のCMは見つからなかったのですが、グライダーを大空に飛ばすシーンがありますので以下のCMを是非ご覧ください。
2.クラブや同好会に参加する
一番のお勧めです。すでに楽しまれている方から製作や飛行に対してアドバイスしてもらえます。
またクラブ単位での飛行会のみならずBBQしながら楽しむということもあり私のクラブでも数回BBQ飛行会を開催しています。ちなみに関西地区では親交のある大井高三さんが会長の木津フライングクラブさんが年に1度フライトショーを開催していてとても見ごたえがあります。
3.検定や競技会にチャレンジする
国家資格ではありませんがSKIの様に検定会が行われています。初級のビギナーズ級から上級者クラスのスーパーマスターズ級までとチャレンジするクラスも幅広くあります。
ビギナーズ級は離陸、旋回~定位置直線飛行、着陸という非常に基礎的なことができればトライできます。
上級クラスとなると定められた17種類の演技(宙返り等)を非常に厳しいジャッジの元で行われます。わかりやすくいうと空のフィギュアスケートという感じです。詳しくは日本無線航空協会のWebを参照してください。
また私がやっていたパイロンレースも草大会から公式戦までと幅広く行われています。パイロンレースは定められた区間を3機同時に周回して順位を競うものです。エンジンサイズでクラス分けされています。
こちらはオートバイのレースの様な感じですね。当然、空中衝突などしてクラッシュなどもあり見ている方もわかりやすい内容となっています。国際規格のF3Dという規格では300~350km/h位の速度でこれはかなり特別な部類とも言えます。
・作る楽しみ
前述の通り「入門機」やTOYラジコンと言われるものは6-8割が作られている状態のARFと呼ばれています(Already To Flyの略)多少の接着作業や取り付け作業で飛ばせる様になるからです。以前、私のクラブでもあったのですが朝の9時にARFキット持ってきてお昼には飛ばしている人がいました。かかった時間は接着剤の硬化時間だけでした。
このARFの他に完成、半完成、生地完成、バルサキットと販売形態も大きく分かれてきます。私が始めた頃はバルサキットしか選択肢がなかったのですが今考えても行き着く先はバルサキットに戻るかもしれません。(これについては後半にまた説明します。)
EVA1号機風の仕上げ
この作る楽しさはご子息がいれば一緒に楽しこともできますね。また、翼にシールを貼ったりとカスタマイズすることももちろんできます。作る作業においての仕上げでは
・送信機/受信機/サーボ
の組み込みと調整となります。一部ARFやTOYラジコンなどではこの部分まで出来た状態で販売されています。
前述のバルサキットとは各部品ともただカットされた状態のままで組み立てから仕上げまで製作者が行うものとなります。完成時は絹やマイクログラスで覆い自分でデザインした塗装で仕上げます。
70年代国産の名機(加藤無線やスカイマスター等)はオークションサイトでもとても高値で取引されていますが、製作せず眺めている人が多い様です。反面、DIY志向の強いアメリカ製のスケール機は今でも普通に販売されています。
面白い話としてこの送信機がプロポと呼ばれだした昭和40年位からサーボを動かすという手順はほとんど変わってません。しかしながらプロポの画面にはWindowsが組み込まれたり伝送方式がAMからFM、そして2.4Ghzデジタルと進化していっています。
実際に付属マニュアルをよく読んで組み込みして動かすととても面白いことがわかります。ラジコン飛行機のそれぞれの舵の動きは実機とほぼ同じです。そう思いながら空を飛んでいる飛行機が旋回したり上昇したりするのを見るとあの舵が動いているのか等々普段見ている景色の中からいろいろ想像が広がりますね。
・なにを揃えればいいの?
多くのオークションサイトやWEBで電動機のセットが売られているのを散見します。特にTOYドローンはかなり安く入手もできます。小型の電動機などはTOYラジコンとも呼ばれとても安価で手を出しやすい反面、作りが悪かったりマニュアルがよく分からないなどの話もある様です。マニアはそれ逆手にとって改造して遊んだりもしていますが長持ちしない様です。
それらTOYラジコンを買うのも悪くないのですが、まずは是非フィールドに出かけてみて飛ばしているところを見学することをお勧めします。そして専門誌、多分「ラジコン技術」しかないと思いますが一冊買ってみると良いでしょう。
インターネット上にも記事はありますがラジコン愛好家はどちらかというと実践派が多くノウハウをBlog化している人はちょっと専門的に書かれていて、あまりよくわからない気もしますので。
簡単に整理すると
・機体
・送信機/受信機/サーボのセット
・エンジン(と燃料)もしくはモーター(と電池)
私からお勧めするとすると
・国産メーカーの電動入門機
が一番良い気がします。例えて言うなら京商カルマートEPや双葉SkyLeaf EPは非常にコスパ良く入門には最適とも言えます。セット内容によってはモーターやエンジンとサーボが一式ついてくるものもあります。その他お店によってお勧めのものを組み合わせて販売しているものもありますのでお店に尋ねてみるのも良いでしょう。
飛行機は出来たけどさてどーしよ?
一瞬でバラバラになってしまうことも
えいや!初心者でその辺の広場で飛ばすのはとても危険です。それ以上にまず単独で上達することは難易度が高すぎます。数秒で地面と激突してバラバラになるパターンが多いです。万が一飛び上がってもコントロールできず人に怪我をさせてしまったり建物を損壊させてしまうこともあります。公園や許可されていない河川敷で無断に飛ばすのはやめましょう。
そこで前述の通りクラブ等で指導を仰ぐのが良いと思います。検索すればお住いの近くにあるかもしれません。今のラジコン送信機にはほとんどトレーナー機能というものが付いていて親機(教える側)と子機(教わる側)を信号線をつないで危険な状態やパニックになった場合トレーナー側で操作できる様になっています。
私の知るところで関東で数少ないビギナー対象スクールをしてくれるところもあります。日本のラジコン飛行機を聡明期から支え、世界選手権出場やあのアイルトンセナにRC指導をなされた松井勲先生率いるクラブがエアロマックスRCクラブ です。公私共々、私も大変お世話になっています。
ラジコン保険のすすめ
最後になりましたが本格的に始める前にラジコン保険または相当のものに加入しましょう。またリチウム電池は発火の危険性がありますので取り扱いはマニュアルに従い注意してください。エンジン/電動機問わず回転するプロペラは非常に危険です。前方に人や物がないことを十分確認してください。いつか皆様と青空の下、RC飛行機を楽しむことができたらと願います。