カートイズミーティング コラボ企画 第11弾をお届けいたします。
カートイズミーティング & カートイワークスのコラボ企画は第11弾を迎えました。2018年始めのテーマは「スポコンブームの仇花 マッスルマシン」です。2000年代初頭に公開された映画「ワイルドスピード」シリーズの影響で、米国で空前のスポコンブームが起こりました。このスポコンブームに乗って数々のミニカーが発売されましたが、今回はその一翼を担うマッスルマシンがテーマです。
スポコンブーム
ワイルドスピード(以下ワイスピと略します)では主人公ブライアンほかが駆る日本車ベースのチューンドカーが縦横無尽に活躍し、日本車を中心とした軽量車両をチューニングするスポーツ コンパクト (略して、スポコン)ブームが起こりました。映画版権を取ったレーシングチャンピオンは言うに及ばず、あらゆるメーカーがスポコン車両をミニカー化しました。今回はその多くのブランドの中からマッスルマシンに焦点を当てようと思います。
マッスルマシン
マッスルマシンは米国のファンライン社が展開するミニカーシリーズです。スポコンブーム以前はディフォルメが激しいアメリカンマッスルカーやファニーカーを発売していましたが、見慣れないアメ車のデフォルメミニカーやコテコテのファニーカーが国内で売れる訳が無く話題になりませんでした。写真はマッスルマシンの三世代目カマロ ファニーカーです。キュートなチョロQに慣れ親しんだ日本人にディールズホィール風のディフォルメカーが理解されることは無かったのです。
マッスルマシンのスポコンカー
そんな泣かず飛ばずのマッスルマシンにもスポコンブームが訪れました。マッスルマシンの日本車はディフォルメを抑え、ボンネットを開閉式として立体的なエンジンが見える優れものでした。今回はそのマッスルマシンの日本車を紹介しましょう。
ブームの中心はホンダ車
スポコンブームの中心勢力はシビックやインテグラといったホンダ車でした。軽い車体に VTECエンジンでビュンビュン走るホンダ車はまさにスポコンブームの象徴です。
写真のシビック (EF) とインテグラはボンネットが開閉しエンジンが見られます。インテグラはミニカー化が珍しい DC-5型なのが嬉しいところです。
アキュラNSXとS2000
ホンダ車でも NSXは格上のアキュラブランドです。写真の NSXは前フードが開くためエンジンは見えません。
しかしタッカーやエフトイズの NSXはエンジンフードが開閉できるため、前フードが唯一開閉出来るマッスルマシンの NSXは逆に希少です。馬力詐称が疑われた S2000もラインナップされています。
80スープラと MR-S
強力な 2Jエンジンを擁するスープラもブームの主流でした。MR-Sはリアのエンジンフードが開閉します。
リアのエンジンフードが開く様は、地味な MR-Sが研ぎ澄まされたミッドシップスポーツカーであることを思い出させる瞬間です。
最後のチェイサー
意外な車種選択は最後の 100系チェイサーです。4ドアでありながらチューンが施された様は、全日本ツーリングカー選手権 JTCCを走ったチェイサーのようです。
追跡車と名付けられ本当の意味でスカイラインを超えられなかったチェイサーは、最後までその名の通り追跡車でした。そんな地味なラストチェイサーを派手なエアロパーツ付きでミニカー化してくれたマッスルマシンに拍手を送りたいです。
ラストセリカとアルテッツア
最後のセリカは派手なエアロパーツと相まって未来から来た車のようです。
アルテッツアもミニカーが少ないですが、GT300に出走していた車両のようなチューンが施されています。
マツダRX-7とRX-8
ロータリーエンジンの雄、RX-7もリリースされていました。おそらく 3インチでボンネットが開く唯一の FDでしょう。最後のロータリースポーツ RX-8はジャンク品でエンジンフードとエンジンが有りません。
「最大の特徴たるロータリーエンジンが無いとは何事か!」と怒られないようにタイムスリップグリコのロータリーエンジンを並べましょう。「グリコはコスモの RE10Aだろう!」と言う声が聞こえますが、細かいことはお許し下さい。
インプとエクリプス
二代目インプレッサはあらゆるブランドからミニカーがリリースされていますが、ボンネットが開閉出来るのはやはりマッスルマシンだけでしょう。
日本車が WRCを席巻していた懐かしい時代の車です。日本では縁遠い三菱エクリプスはジャンク品から再生したものです。紛失していたタイヤとシャシを他のミニカーから拝借してこの姿まで復活しました。
シルビア三世代
ご当地では 200SX (240SX) のシルビアは S13から S15まで三世代が揃います。人気の S13と S15に挟まれた不人気車 S14はミニカー化が珍しいです。
御当地では国内と人気車が違うのか、それとも確信犯で不人気車をリリースしたのかはわかりませんが有り難いことです。
R34 スカイライン
スポコンブームの頂点と目される R34はブーム当時の価値が一千万円を超えていたと聞きます。今は亡きポールウォーカー演じる主人公ブライアンが好んで乗っていたことも理由のひとつだと思います。
米国に正式に輸出されていなかったスカイラインがプレミア扱いされるのは嬉しいことです。マッスルマシンの R34は GT選手権出場車両を彷彿とさせる外観です。
筆者の個人的趣向により R34はブリスター未開封を含めて数々のバリエーションを揃えています。
R34 のトレーラー
ゲテモノ好きの筆者も思わずたじろいだ R34スカイライン顔のトレーラーです。スポコンブームに勢いが有ったと言っても、ここまで悪乗りしたのはマッスルマシンだけではないでしょうか。
パッケージ横を見るとインプレッサ顔や Z33顔のトレーラーも有るようです。
流石に実車は無いと思いますが、有ればさぞかし迫力の R34なのでしょう。積載用に付属する R34の青いボディが綺麗です。
インフィニティ V35
R34に続く V35スカイラインもインフィニティ 350GTとしてリリースされていました。
10世代に渡るスカイラインの歴史を継ぐ車として、あまりにふやけた V35は国内では「スカイラインにあらず」とまで酷評されましたが、米国では人気が有ったらしく晴れてミニカー化されました。
フェアレディ Z33
フェアレディZは米国では Zカーとしてスポコンとは違う独特の地位を得ていましたが、350Zとしてマッスルマシンからリリースされました。
「走りで GT-Rやロータリーに及ばないなら、徹底的に軟派であれ!」と言うのが筆者の Zへの個人的意見です。その意味で Z32が最良であり Z33は半端な気がしますが、かの地では受けたのだと思います。
国産旧車に飛び火 ダルマセリカ
スポコンブームが極まるとホットな高性能車だけでなく日本の旧車にも注目が集まりました。写真はダルマの愛称で知られる初代セリカです。
ボンネットが前ヒンジで開閉出来るのも素晴らしいですが、後期型のクーペと言う点でも世界唯一のミニカーかも知れません。
旧車の代表 ダットサン510
国産旧車といえば 510ブルーバードを外せませんが、マッスルマシンはしっかりミニカー化しています。そしてダットサン510と言えば BREレーシングですが、これもしっかりそれらしいカラーリングが施されています。「BREは 2ドアセダンだぞ!」と言う声が天から聞こえます。
本国トミカにも 2ドアクーペの BRE仕様が有って、一万円級のプレミアが付いているのですから、硬い事言いっこ無しで行きましょう。しかしこの 510は RB26らしき 6気筒エンジンを搭載しています。このボディに入るのか心配です。
ハコスカ
国産旧車の代表にしてワイスピにもブライアンの愛車として登場したハコスカもマッスルマシンとしてリリースされました。前ヒンジでボンネットが開くのはもちろんですが、なんと S20型エンジンは上げ底でなく立体的に再現されています。
シャシ側から見るとこのエンジンがミッションとプロペラシャフトを介してデフに繋がっているところまで立体的に再現されています。ほとんどの 3インチミニカーのエンジンは上げ底再現ですがマッスルマシンが国産旧車に捧げる熱い思いが伝わります。
フェアレディ 240Z
初代 Zも前ヒンジで開くボンネットの下には日産伝統の L型エンジンが立体的に再現されています。
当時の国産車はエンジンルームがスカスカで地面が見えましたが、それが再現されています。
つい最近 M2というブランドから初代 Zやハコスカがリリースされました。ボンネットが開きますが、エンジンはレリーフ状の上げ底です。
マッスルマシンはこんな手の込んだ作りを 15年前に実現していたのです。
マッスルマシンの魅力
スポコンは日本車を改造する文化として米国に根付いています。マッスルマシンはその後 積極的にリリースされていませんが、私たちはマッスルマシンを通してアメリカ人の視点で見た日本車を知ることが出来ます。国産車が日本では有り得ない色や手法でチューニングされ、かの地を走っていると思うと楽しく思いませんか?マッスルマシンはそうした日本車改造ブームの生き証人なのです。
そして何より楽しいのは国内でも発売されにくい珍しい車種や仕様のミニカーが手に入ることです。見慣れた彼女が衣装や髪型を変えたら別人に変ったような魅力を醸してドキドキしたことはありませんか?マッスルマシンの国産車はそんなドキドキに満ちていると思うのです。
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