カートイワークス&カートイズミーティングのコラボ企画 第九段です。9回目のテーマは 「 Z31偏愛物語」です。フェアレディZと言えば日本を代表するスポーツカーです。Zのミニカーをまとめて紹介しようすれば、長文駄作と化すのは必至ですから、今回は出来の良い二人の姉に隠れて存在感が希薄だった三代目 Z31だけに焦点を当てたいと思います。
不動の名車 初代フェアレディZ
アメリカで大成功を納めた初代フェアレディZ 通称 S30型は乗用車のエンジンでもスポーツカーが売れることを立証した、歴史に残る名車です。湾岸ミッドナイトの「悪魔のZ」始め数々の伝説を残しています。写真の初代 Zはイグニッションモデルのカートイズミーティング 2017限定の 1/43 PANDEM S30 Z です。
二世代目 S 130フェアレディZ
二代目の S130 Zは初代のイメージを色濃く残し、二代目生産中に累計生産 100万台を達成してフェアレディZを不動の名車として確立しました。写真はエブロの1/43 S130 Zですが、今回のテーマは彼女たちでは有りません。
三代目 Z31
さて三代目 Z31は最新鋭の V6エンジンを搭載して華々しくデビューしましたが、ハイソカーの時代に飲み込まれスポーツカーなのかグランドツアラーなのか性格がはっきりしないまま次世代の Z32にバトンを渡してしまいました。伝統の L型直列 6気筒エンジンを捨てたと思いきや、後期には RB型直列 6気筒が搭載されるなどして、コンセプトが揺らいでいたように思えます。
次世代の Z32はスーパーカーを思わせる低くワイドなボディと、国産初の自主規制枠一杯の 280馬力エンジンがバブル期と重なり好評を得ました。偉大な姉たちとスタイルの良い妹に挟まれて、陽が当たらなかった Z31が今回のテーマです。えっ何故 Z31なのって? それはこれから明かします。
タミヤの 1/24スケール プラモデル
三代目 Zの特徴は、それまでセド / グロからブルーバードまで日産の主力機種のほぼ全てに搭載されていた伝統の L型直列 6気筒エンジンを捨てて搭載した、VG型 V6エンジンに有ります。
タミヤのプラモデルはエンジンフードが外れますから覗いてみましょう。クランク長が短くバランスが取りやすい V6エンジンという触れ込みでしたが、実際にバランスに優れるのは直列 6気筒であって、特にバランスに優れた印象は有りませんでした。
それでも 3リッターターボの VG30ETを搭載した 300ZXは当時最大の 230馬力を誇り
「教えてあげよう。比べることの無意味さを」
という挑戦的なコピーでデビューしました。1/24では他にもフジミの Z31 後期型プラモデルも存在します。
日東 | ニットーの 1/43スケール プラモデル
実車デビューと同時に発売 (配布?) されたのが、この日東の 1/43プラモデルです。箱のどこにも日東と書かれておらずノベルティグッズだったと思われます。
プルバックゼンマイが仕込まれたチーププラモデルですが、プロポーションが秀逸です。日東はこうした素晴らしいチーププラモの宝庫でしたが、スーパーカーブームのあおりで倒産してしまいました。
フジミの 1/48スケール プラモデル
80年代中盤にフジミから 1/48スケールのプラモデルが数種類発売されました。二世代目プレリュードなど希少な車種展開でしたが、どうしてヨンサン(43)じゃなくて ヨンパチ(48)なの?と感じたモデラーが多かったと推測します。
1/48は航空機の標準スケールですが、カーモデルでは稀有です。
こちらもプルバックを仕込んでいますが、日東に負けず劣らぬ良いプロポーションです。写真には同シリーズの 240 ZGも写っています。
フル可動のダイヤペット フェアレディZ
実車における Z31の 8割は 4人乗りの 2×2でした。写真はダイヤペットの 1/40スケールのミニカーですが、珍しく 2×2が再現されています。出来栄えはともかく、リトラクタブルヘッドライト (以下リトラと略します) や各部が可動する楽しいミニカーです。
リアシートのためにホィールベースを 20センチ延長した姿は、スポーツカーと呼ぶには間延びしていますが、これで良いのです。何故なら Z31はスポーツカーの姿をした高級乗用車だからです。日産には乗用車の姿をしたスポーツカー スカイラインが存在します。当事日産車でロータリーに挑むなら、ZでなくてスカイラインRS (R30型) が選ばれました。筆者が日産に魅かれる理由は、Zとスカイラインが持つこの外観と性格の相反性なのです。
トミカ ダンディ 300ZX
さて 1/43標準スケールのトミカ ダンディには 2シーターが有りました。これもリトラや各部がフル開閉するミニカーですが、チリが甘いダイヤペットよりかなり精密です。
近年の高品位なモデルが発売されるまで、最も精密な 43ミニカーだったと言えるでしょう。
Z31はパラレルライジング ヘッドランプと呼ばれる平行に上下するリトラが採用されており、その半目状態が Z31の外観を特徴付けていました。
光軸移動が少ないなどとカタログには謳われていますが、半目状態の姿に S30型や S130型のイメージを残したかったのだと思います。
爆音ミニカー イワヤのスーパー サウンド プレミアム
輸出仕様の日産 50周年記念の Z31を再現したこのミニカーは 21世紀に入ってから製品化されましたが、運河彫りで精密と呼ぶには抵抗が有りました。 (運河彫り:マッチボックスのプラモデルのスジ掘りが幅広いことから運河のようだと揶揄され生まれたプラモデル用語)
この Z31はスピーカーが組み込まれ勇ましい VGエンジンの爆音を聞くことが出来ますが、唐突過ぎたらしく真っ当な模型を愛する 43コレクターには受入れられませんでした。交換用のホィールやマフラーが付属する楽しいミニカーでした。イワヤには後期型 (写真 白) も有りました。
車高が変わるDISM / アオシマの 300ZX
アオシマからDISMブランドでリリースされていた Z31後期型です。後期型はワイドフェンダーを纏い 4カムのVG30DEエンジンを与えられましたが、既に 3リッターツインカムターボを擁するソアラやスープラにパフォーマンスで及ばず、決定的な魅力に欠けていました。
アオシマは車高を変えられる楽しいギミック付きです。後期型は他にも京商からも 1/43スケールで発売されていました。
メカドックのグレーサーZ
漫画「よろしくメカドック」の主人公 風間準が乗ったグレーサーZです。モデラーズの 1/43ミニカーです。
派手なエアロパーツが再現されています。筆者はこうした高級ミニカーを保有していないので、カートイズミーティングの独身貴族 S氏から拝借して撮影しました。
ビックワンガムのZ31
この辺で変なモデルに脱線したい症候群が抑えられなくなりました。80年代 貧乏少年の味方ビックワンガムの Z31はリトラ可動、Tバールーフ着脱、前輪ステアリング可能という凝ったオマケでした。
大きさは 1/40スケールですが、前述のダイヤペットよりプロポーションで勝ります。写真のサンプルはTバールーフが行方不明です。ビックワンガムは軟質樹脂で塗装を受け付けないのが難攻不落です。
トミカの 300ZX (Z31)
トミカの Z31はやや扁平なところが、抑揚に欠ける Z31のプロポーションと妙にマッチしていた気がします。
通常品に加え、エクセレントトミカ、トミカリミテッドなど多くのバリエーションが有りますが、このドメインは大先生が多数いらっしゃいますので、いい加減な事を書いて集中砲火を浴びないように簡単に触れるだけにします。白いのは筆者のカスタム品です。
トミカリミテッド フェアレディZ 10モデルセット
トミカリミテッドの Z31は豪華 10台セットの一員としてデビューしました。純正ホィールが再現されています。細部まで塗装が施されラバータイヤを装着したリミテッドシリーズは、筆者のようなモデラー上がりには歓迎されました。
旧来からの箱入りトミカの風合いを愛する方々に受けが良くなかったらしく今では絶版です。
特注トミカ 300ZX
様々な Z31特注トミカがリリースされていました。エクセレントトミカ、マルエイ特注、グループCフェアのペースカー仕様、ラリー仕様などが有ります。ペースカーとラリーは近年復刻されましたが写真には登場していません。
膨大な特注バリエーションを誇るスカイラインに比べると、Z31の特注は少なく不人気が窺い知れます。
マッチボックス
3インチの先駆者、マッチボックスにも Z31が有りました。CDのように光るレーザーホイールを履いた仕様など、多岐なバリエーションが有りました。
3インチで唯一ボンネットが開閉出来る Z31ですが、ボンネットの中はほとんどがヒンジに占領され、浮き彫りのようなエンジンが見えます。
ホットウィール
ホットウィールの Z31はホットウィールにしては珍しくドアが開閉できます。ドア開閉できるトミカをライバル視したのでしょうか。エアロディッシュホィール全盛期と重なる Z31にはウルトラ HOTSホイールが似合います。
ウルトラ HOTSはチープミニカー好きを引き寄せるオーラを帯びているような気がするのは筆者だけでしょうか。正武と漢字が書かれたバリエーションを最後にリリースが途絶えています。
ホットウィール Z31風 2ドアクーペ
こちらもホットウィールですがテールがルーバー状のものは、ぶつかると後部が回転して凹んだバンパーが現われ、同時にテールゲートが跳ね上がる事故再現ギミック付きです。このシリーズは実車メーカーから怒られないように微妙に実車と細部を変えています。
これも Z31のようで微妙に違うのですが、気付かれないように似せているような気がします。
EDOCARとマイストの 300ZX
EDOCARの Z31はトミカより多少大きめの 1/55スケール程度です。プロポーションは良いですがチープ感は拭えません。
マイストにはこれを拡大コピーしたようにデカイ 1/45スケール版が有ります。プルバックゼンマイ内臓ですが、うすらデカさが増しただけでした。
さて、今回もミニカーを並べ始めたら止まらなくなってしまいまずは前半戦はここまでです。
フェアレディZ 300ZX (Z31) も冒頭で存在感が希薄だった三代目 Z31と書きましたが、実はそんなこともなく、これだけのミニカーがいろいろなバリエーションで登場しています。<後半>もあれやこれやマニアックなミニカー達をご紹介していきますので、お楽しみに。
カートイズミーティング × カートイワークス コラボ企画
第七弾 市販車の姿をした怪物 シルエットフォーミュラ <前編>
第七弾 市販車の姿をした怪物 シルエットフォーミュラ <後編>
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