コラボ企画第一弾!
カートイズミーティング & カートイワークスのコラボ企画第一弾です。
皆様はどんなミニカーが好きですか? 美しいケースに収められた至宝のような 1/43モデルでしょうか。それとも希少価値を云々するヴィンテージモデルでしょうか。
浜松市を拠点とするカートイズミーティングの面々もさまざまな分野の模型を収集しています。前述の至宝のようなミニカーや、びっくりするような市場価格が噂されるミニカーたちが毎週水曜日の夜、彼らの隠れ家である某喫茶店に持ち寄られ、うんちく話に花が咲きます。カートイズミーティングとはそんな素晴らしい集まりです。
ジャンクの魅力とは
さてそんなカートイズミーティングの一角にジャンカーと呼ばれる人たちがいます。高価な模型には興味を示さずガラクタのようなミニカーを持ち寄っては語り合っています。今日はそんなジャンクが大好きなジャンカーに焦点を絞ってみようと思います。
シャンクミニカーの魅力をジャンカーであるBBさんに語って頂きました。ジャンクの魅力は箱付き新品なら何万円もするミニカーが、格安で入手出来ることです。例えば市場価格数万円のヴィンテージトミカですが、箱がなければ数千円、キズが付いたら数百円の価値しか有りません。それがミニカー業界の価格です。しかし純粋に模型として見た場合、二桁も価値が下がるとは思えません。ジャンカーの視点はモデラーの視点です。市場価格がどうのと言った客観的な価値とは違い、自身がモデラーとして欲しいかどうかと言う物差しで価値を計ります。箱は邪魔なだけ、キズは補修すれば良いのです。
安く手に入れる
ディンキー DINKY キャプテンスカーレット スペクトラム パトロールカー
ジャンカーの行動原則、その一は「安く手に入れる」ことです。例えばジャンカーBBはフリマで写真のディンキー スペクトラムカーを百円で入手しました。箱なし、キズありは当然です。キズはタッチアップすれば良いのです。箱無しが百円でも安ければ箱無しを選択します。キズは多くても直す自信があれば安い方を選びます。何千円もするミニカーを改造するのは気が引けますが、安ければ気軽に改造ベースに出来るのです。
リペ&ホィール交換
ジャンカーの行動原則、その二は「市販されていないミニカーを作り上げる」ことです。これにはいくつかのレベルが有ります。最初はリペイントです。
写真のトミカ ブルーバードUは青色でしたが白くリペイントされています。カシメを外しタイヤはアオシマ 1/64に交換し、細部に色差しされています。この程度の作業は朝飯前です。これはジャンカーBBが最初に乗った実車を再現しています。
カシメ外しや色差しはミニカーコレクターにとっては価値半減の御法度です。しかしジャンカーはモデラー視点です。模型としての価値を高めるためなら、絶版ミニカーだろうと躊躇無く改造します。もっともこのブルUは砂場で拾ったジャンクがベースなのでタダです。
市販ミニカーと違うボディ形式を作る。
写真はトミカの 330セドリックです。見慣れた 330とはどこかが違います。トミカの 330は 4ドアセダンですがこれは 4ドアハードトップです。50円で入手したジャンクトミカをベースに屋根を切ったり削ったりしてハードトップにしました。この辺はまだライトなジャンクカスタムです。
市販ミニカーを改造する。
マッドマックス インターセプター
写真はマッドマックスのインターセプターです。ホットウィールのファルコンをベースにあらゆるパーツを追加しています。この辺まで来るとなかなか気合が要るカスタムです。
象に踏まれても再生する。
ダイヤペット フェラーリ ディノ RS コンペツォーネ カスタム
サーキットの狼 ヤタベRS 仕様
写真のディノRSはダイヤペットですが、ベースは百円で入手した象に踏まれたように屋根が変形した状態のジャンクミニカーでした。屋根を新造し、タイヤを履き替えディノ・コンペツォーネからサーキットの狼のディノRSに生まれ変わりました。高額な 1/43程度のレジンモデルを購入するのなら、似たようなジャンクミニカーを再生して作り上げる。これがジャンカーの醍醐味なのです。
無からミニカーを作る。
写真はフェラーリ ディノ308 GT4です。写真は奥から木型、レジン型、彩色レジンミニカーです。最初に無垢木材から 308 GT4の木型を削りだしました。その木型をシリコンで型取りし、一旦レジンに置き換えて細部を成型してからレジン型を作ります。わざわざレジン型を起こすのは、木型ではスジ彫りなどの加工がしにくいからです。出来上がった型を再びシリコンで型取りし、レジンで抜いて 308 GT4の形を造りました。ジャンカーBBがこれを作った当時、308 GT4の 3インチミニカーは販売されていませんでした。へそ曲がりのジャンカーBBは、一般大衆に愛されたディノ 246 GTより、唯一のベルトーネデザイン フェラーリの 308 GT4が大好きで、無から作り上げたのです。
無からミニカーを造る。これぞジャンカーの究極の喜びなのかも知れません。
ジャンカーBBを襲った衝撃
ジャンカーBBは、擬似的にミニカーメーカーになったような満足感に浸りました。そんなときカートイズミーティング情報屋ビンゴからメール着信です。「京商サークルKからフェラーリ コレクション第 9弾発売。ラインナップは 308 GT4・・・」スーパーカーブームから苦節 30年、待てど暮らせど発売されぬ 308 GT4を待ちきれず、ついに自作を決め完成した日から一週間のちの出来事でした。不人気車ゆえにたちまち中古ショップに安価に居並ぶ京商 308 GT4をジャンカーBBは恨めしく眺めるしかありませんでした。
ミニカーとして発売されていない車を作り出すのがジャンカーの喜びならば、苦労して作り出したミニカーと同じ仕様のミニカーが大手メーカーから発売されてしまうのが、ジャンカーの落胆なのです。
凄腕ジャンカー“クジラ”
さてカートイズミーティングにはジャンカーBB顔負けの凄腕ジャンカー“クジラ”がいます。何が顔負けって、クジラさんが入手して改造するジャンクミニカーの量が半端でないのです。BBさんの年間カスタムミニカー台数を、ものの一週間程度で手掛けます。ただしクジラさんの悪癖は完成しない症候群です。概ね形が出来上がると満足してしまい、塗装まで至らないのがクジラカスタムの弱点です。モデラーに有りがちな症候群です。クジラさんは象に踏まれたように変形していても、ボディのパーツが半分無くても、元とは違う何か他のミニカー目指して改造し続けるところがジャンカーとして偉大です。そんなクジラカスタムはまた別の機会に紹介したいと思います。
カートイズミーティング
昔々、BBさんが某模型雑誌に投稿したミニカー改造事例には、透明スプーンを窓に利用するであるとか、別れた彼女のマニュキアで塗装するとか、誰も読まないマイナーな事例が書かれていました。クジラさんはそれらの記事を読んで、酔狂な手法を記憶していました。情報屋ビンゴからカートイズミーティングに召還されたBBさんは、同じく召還されたクジラさんがそれらの記事を読んで記憶していることを知り、深い感銘を覚えました。一般人には取るに足らぬことでも、わかる人にだけわかってもらえる。これが同じ趣味を愛する人の最大の満足だと思うのです。見知らぬ人から千の「いいね」をもらうことより、自分がわかって欲しいところをわかってくれる人が少しだけいる。カートイズミーティングとはそんな素晴らしい空間なのです。
次回 ジャンカーサイドは
次回は映画やアニメで活躍するキャラクターカーに焦点を当ててみたいと思います。誰でも知っているマッドマックスから、誰も知らないマシンハヤブサまでキャラクターカーの魅力に迫りたいと思います。
今回の登場人物解説
1) 情報屋ビンゴ: かろうじて五十代サラリーマン。豊富な人脈を活かしカートイズミーティングメンバーにミニカー新車発売情報やイベント情報などあらゆる情報をもたらす。その情報源は時にその職業柄の役得で得た疚しいネタをも含み、メンバーから重宝されている。しかし彼の発信する食べログ的情報はあまり重宝されていない。
2) ジャンカーBB: 五十代サラリーマン。ミリタリー系モデラーからカーモデラー、ミニカーコレクターを経てジャンカーに到る。好物はスーパーカー、マッスルカー、日産車、東宝怪獣、第二次大戦機。 萌え系以外の全てのジャンルの模型を愛する。萌え系が除外されている理由は「女性だけは模型や二次元で無く生身の女性と遊ぼう」が彼のポリシーだからである。
3) ジャンカークジラ: 二十代青年。販売業。自身が生まれる以前の時代を含めてあらゆる種類の車に関する知識を有し、プラモデル、ミニカー、駄玩具問わずあらゆる形態の車模型を愛するエンサイクロペディア型コレクター兼モデラー。箱入り完品よりジャンクを愛する。
カートイズミーティング × カートイワークス コラボ企画
第一弾 愛しのジャンクミニカー
カートイワークス:
カートイズミーティング イン ハママツ 2016に参加出店しました。