単なる完成品ではなく、単なるキットではなく、単なるコレクションではない。集めた人だけがその魅力にたどり着ける、パートワークアイテム。今回は足立区のお客様からお譲りいただきました完成品紹介の第3弾。アシェットの74(ナナヨン)式戦車と10(ヒトマル)式戦車をご紹介します。
アシェットは2015年にリリースする10式戦車のパートワークをリリース。その好評を受けて2020年には74式をリリースしています。
冷戦を支えた盾・74式戦車
登場年代順に紹介していきますと、74式は戦後国産二代目の主力戦車となります。開発は三菱重工業。開発開始は1964年で、先代である61式戦車が採用されて間もないタイミングです。この時期は既にM60パットンやレオパルド1などの戦後第2世代戦車の配備が開始されつつありました。そのため国内では世界の主力戦車に追いつくことを目標とし、そうして生まれた74式は2.5世代にあたります。
開発指針としては、レーザー測距儀や弾道計算コンピュータなどの当時の世界最高レベルの電子機器を搭載。本体は軽量・コンパクト化が図られました。装甲材は単純な防弾鋼となっており、対戦車兵器に対して装甲で防ぐのではなく、流線形の外装での受け流しや、機動力で回避する思想となっています。当たらなければどうということはないってやつですね。主砲は61式の52口径90mmライフル砲から、51口径105mmライフル砲へと拡大。主砲同軸の7.62mm機銃、砲塔上部の12.7mm機銃などの副武装の口径は同じですが、前者はM1919A4から74式車載機関銃へと変更されています。
74式の後継となる90式は主に北部方面隊(北海道全域を防衛)に重点配備されており、10式の登場まで本州以南の主力戦車として活躍しました。
アシェットの74式は全長約58.8cmの1/16スケール。ダイキャストを多用しつつ、赤外線リモコンによる走行や姿勢制御、砲塔回転、砲身の上下などのコントロールが可能です。
前照灯やブレーキ灯、方向指示器などの各部灯火類が発光可能、赤外線投光器には大光量LEDを採用しています。実車から収録したエンジン音や、発射音と共に車体が反動に揺れるアクションなど、まさに実物さながらのアクションやサウンドが可能です。
また、車長用ペリスコープ部に組み込まれたカメラの映像を、リモコン付属のディスプレイで確認できるなど、21世紀ならではのギミックが盛りだくさんです。かつて自分が組んだ有線リモコン(レバーが2本生えているやつ)の1/35とは大違いですね……。
▲お譲りいただいた74式は、延長号161号から付属した擬装キットや乗員フィギュアを搭載した仕様。お譲りいただきましたお客様の情熱を感じます。ちなみに74式の延長号101~160号では73式特大型セミトレーラをラインナップ。74式を搭載するため全長約110cmにも及びます。
21世紀を護る10式戦車
10式戦車は2012年より本格配備がはじまった、純国産4代目であり、現在最新鋭の主力戦車です。1990年より北部方面隊に配備された第3世代主力戦車である90式と多くのコンセプト・機能を共用しつつ、発展させた3.5世代となります。
主砲は90式から採用された44口径120mm滑空砲を継続して採用。この砲はアメリカのM1エイブラムスと共通の弾薬を使用できる利点があります。ただし90式がラインメタル社の製品をライセンス生産していたのに対し、日本製鋼所製の10式戦車砲を搭載。より高圧を必要とする弾頭に対応しつつ、1割強の軽量化に成功しました。もちろんその射撃管制を行う各種センサーやコンピューターも大幅に進化しています。複合装甲や水冷エンジンの採用なども90式からのもので、エンジン出力は90式の1500psから1200psにダウンしていますが、車体は全長・全幅をコンパクト化し、約1割の軽量化に成功。90式と変わらない高い機動性を維持しています。
アシェットの10式戦車は2015年1月より展開開始。1/16スケール、全長約58.9cmで、各部にダイキャストパーツを採用して戦車らしい重量感を演出しています。上記の74式より先に発売されていますが、灯火部の発光や砲塔旋回、発射時の反動、姿勢制御などはコントローラーを使って再現することが可能です。また、ペリスコープ内蔵カメラからの映像を、コントローラーのモニタで確認できる機能もすでに採用られています。
▲履帯の作動も可能ですがあくまでディスプレイベースのローラー上のみ。10式戦車の場合はバッテリーや基板などがベース内に収納されています。恐らくこの10式を独立走行させたいという要望が74式の仕様に繋がったものと思われます。
▲砲塔上部の機銃は64式から連綿と仕様されている12.7mmM2。信頼の証でもあります。
コレクションをコレクションする
アシェットからは上2種の国産戦車がリリースされていますが、ライバル関係ともいえるデアゴスティーニからは、2023年1月より「90式戦車をつくる」シリーズが展開中です。
スケールも同じ1/16なのがニクいというかファンにはうれしいというか……。1つの「つくる」シリーズ単体でコレクション要素があるパートワークアイテムですが、さらにそれを同スケールかつおおよそ同仕様で楽しむことも可能なわけですね。
複数のシリーズをコレクションする……趣味に終わりはありませんね。61式はまだリリースされていないようですがどちらが出すのでしょう。
次回いよいよシリーズ最終回、ウイリスジープとF-4EJ改をお送りします!
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